日活は創立100周年(2012年)を記念して『幕末太陽傳 デジタル修復版』を2011年12月、特別上映を行う。
テアトル新宿・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国公開。
【作品概要】
◎銭がなくとも、その身ひとつで時代を駆ける!江戸時代末期の品川で起こる波瀾万丈、悲喜交々の人情物語
時は幕末、文久2(1862)年。品川の地に北の吉原と並び称される色町があった。相模屋という遊郭へわらじを脱いだ主人公の佐平次は、勘定を気にする仲間三人を尻目に、呑めや歌えの大尽騒ぎ。実はこの男、懐に一文も持ち合わせていないのだが・・・。 “居残り”と称して、相模屋で働くことにした佐平次は八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍! 巻き起こる騒動を片っ端から片付けてゆく。自らの身に起こった困難をものともせず、相模屋に滞在していた高杉晋作らとも交友を結び、乱世を軽やかに渡り歩くのだった。
◎日本映画史を代表する喜劇の最高傑作が最新技術で銀幕に甦る!
来る2012年に100周年を迎える日本最古の映画会社である日活。数多あるライブラリーの中から、後の100年まで残したい1本として、日活および川島雄三監督の代表作である本作をデジタル修復する作品に選んだ。撮影当時のスタッフが修復に携わり、“修復すること”の意義を見つめ直して作業に当たった本作は、単にきれいにするのではなく、57年に製作された当時そのままの状態を復元することに重きをおき、日本映画黄金期の勢いを感じさせる作品として生まれ変わった。
◎ここでしか観ることができない、豪華キャストの競演!夭折の天才・川島雄三が日活に遺した奇蹟の物語
45歳という若さでこの世を去った川島雄三監督。『洲崎パラダイス 赤信号』(56)や『しとやかな獣』(62)など人間の性をシニカルかつ客観的に描き、全51作品を世に送り出した。古典落語「居残り佐平次」を軸に、「品川心中」「三枚起請」など様々な噺を一本の物語に紡ぎ上げた本作は、2009年キネマ旬報オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇において『東京物語』(53/小津安二郎監督)、『七人の侍』(54/黒澤明監督)、『浮雲』(55/成瀬巳喜男監督)に続いて第4位に輝き、多くの落語家が「落語種を映画にして唯一成功した作品」との太鼓判を捺し、喜劇を生業とする様々なジャンルの文化人たちに愛され続けている川島雄三の代表作である。50年代のオールスター・キャストが織り成す、笑いあり涙ありの江戸の“粋”なこころに、生きることの喜びを感じさせ、閉そくした現代日本に、元気と知恵、そして喝を入れてくれる珠玉の時代劇だ。
【スタッフ】
製 作:山本 武
脚 本:田中啓一、川島雄三、今村昌平
風俗考証:木村荘八
撮 影:高村倉太郎
照 明:大西美津男
録 音:橋本文雄
美 術:中村公彦、千葉一彦
編 集:中村 正
音 楽:黛 俊郎
助監督:今村昌平
特殊撮影:日活特殊技術部
製作主任:林本博佳
資料提供:宮尾しげを、安藤鶴夫
【キャスト】
フランキー堺、左幸子、南田洋子、石原裕次郎、芦川いづみ、市村俊幸、金子信雄、山岡久乃、梅野泰靖、織田政雄、岡田真澄、高原駿雄、青木富夫、峰三平、菅井きん、小沢昭一、植村謙二郎、河野秋武、西村 晃、熊倉一雄、三島 謙、殿山泰司、加藤博司、二谷英明、小林旭、関弘美、武藤章生、穂高渓介、秋津礼二、宮部昭夫、河上信夫、山田禅二、井上昭文、榎木兵衛、井東柳晴、小泉郁之助、福田とよ、新井麗子、竹内洋子、芝あをみ 、清水千代子、高山千草。
所作指導:沢村門之助
監 督:川島雄三
修復監修:橋本文雄、萩原泉
共同事業:東京国立近代美術館フィルムセンター
技術協力:IMAGICA、IMAGICAウェスト、AUDIO MECHANICS
1957年/110分/モノクロ/スタンダード/©日活
配給:日活