マージビ郡(リベリア共和国)、ニューヨーク市(アメリカ)
作品概要
結局は変わらない世界、それでも自由を知りたかった。
ニューヨークとアフリカを舞台に、日本人監督が描く“移民”の物語
あなたの知らない“移民”の世界がここにはある。
本作は内戦の傷痕が色濃く残るリベリアで、政府公認の映画組合と共に制作された初めての映画です。後半には移民の街・NYに舞台を移し、アメリカで生きるアフリカ系移民の日常が鮮烈に描かれています。
2017年8月5日公開 |
DVD 『リベリアの白い血』 |
ストーリー
西アフリカ・リベリアからニューヨークへ、自由を求めて生きる男がいた。
リベリア共和国のゴム農園で働くシスコは過酷な労働の中で家族を養っていた。仲間たちと共に労働環境の改善に立ち上がるが、状況は変わらない。そんな時シスコは従兄弟のマーヴィンからニューヨークでの生活のことを聞き、より良い生活のために愛する家族の元を離れ、自由の国アメリカへ単身で渡ることを決意する。 NYのリベリア人コミュニティに身を置き、タクシードライバーとして働き出したシスコ。移民の現実を目の当たりにしながらも、都会の喧噪や多種多様な人々が住むこの地に少しずつ順応していく。しかし、元兵士のジェイコブとの予期せぬ再会により、リベリアでの忌々しい過去がシスコに蘇ってくるのだった…。
予告編
予告編配信の使用許諾権:地ムービー
地域ばなし
西アフリカのリベリア共和国、アメリカのニューヨークシティでのロケ撮影されました。
リベリアのシーンでは、キャストの多くが現地オーディションで選ばれています。
リベリア共和国はアメリカで解放された黒人奴隷によって建国され、国名はラテン語のLiber(自由)に由来しています。
リベリアでは、 1980年代から2000年代に2回の内戦が起きており、劇中でもその影響が垣間見えます。
内戦後リベリア政府はリベリア映画組合を設立、本作は同組合にとって初めての共同制作作品です。
本作品は、リベリア部分の撮影監督を務めた村上涼が自主制作していたドキュメンタリーから着想を得ています。
村上淳さんは、2007年と2008年にリベリアに行き、ゴム農園の労働者のドキュメンタリーを撮影しました。福永監督は、その制作を手伝う中で、映像に写っていた、過酷な労働の中でも尊厳とひたむきさを保ち、たくましく生きる労働者達の姿に強い感銘を受け、当時構想していたニューヨークに住む移民の映画の主人公の背景を、リベリアのゴム農園の労働者に設定することに決めています。
村上涼さんは、カメラマンとして世界での活躍を期待された逸材でしたが、リベリアでの撮影中にマラリアにかかり、悔しくも33歳という若さでこの世を去っています。
ロケーション撮影時のエピソード:
映画に出ていくるゴム農園はリベリア共和国のWealaにあり、そこでロケ撮影されています。
リベリアの主人公の住んでいる場所は、Wealaにあるゴム精製会社のゴム農園内に作られた、労働者が住む村です。
映画にでてくる教会はマージビ郡(Margib)にあります。
リベリアの釣りのシーンは、ファーミントン川という場所で撮影されました。晴れのシーンのはずでしたが、雨が続いたため雨のシーンとして撮影されています。
プランテーションのシーンでは夜明け前の暗闇の中撮影を始めました。福永壮志監督は、現場に行く途中の星空がとても綺麗だったと回想されています。
リベリアの村での夜のシーンの撮影時に、月がとても明るい時があり、街灯などが何もないにも関わらず、周りがよく見えていました。
ニューヨークでのロケーション撮影は、マンハッタン、ブルックリン、スタテン・アイランドの各所で行われました。
主人公が住むアパートなどのエリアは、スタテン・アイランドのパークヒルというエリアで、実際にリベリア系アメリカ人が多く住む場所です。治安場所が悪く、ウータンクランの出身地として知られています。
ニューヨークでシスコが初めてジェイコブと会うシーンは、スタテン・アイランドのパークヒル内のプロジェクト(低所得者用の団地)での撮影でしたが、撮影前夜に連続殺人事件があり、通りを埋め尽くしていた警察とパトカーをフレームから外しての撮影が大変でした
ロケ地
リベリア共和国
マージビ郡(Margib)
Weala
アメリカ
ニューヨーク州
ニューヨークシティ:マンハッタン、ブルックリン、スタテン・アイランド
映画にちなんだもの
ゴム農園、タイヤ
支援
後援:アフリカ日本協議会、アジア・アフリカ協会
キャスト
ビショップ・ブレイ、ゼノビア・テイラー、デューク・マーフィー・デニス、ロドニー・ロジャース・べックレー、ディヴィッド・ロバーツ、シェリー・モラド
スタッフ
- 監督:福永壮志
- 脚本:福永壮志、ドナリ・ブラクストン
- 製作総指揮:ジョシュ・ウィック、マシュー・パーカー
- 製作:ドナリ・ブラクストン、マイク・フォックス
- 音楽:タイヨンダイ・ブラクストン (ex.BATTLES)
- 撮影: 村上涼、オーウェン・ドノバン
- 照明:ロイ・ノウリン/トム・チャベス
- 録音:マイク・ウルフ・シュナイダー
- 美術:スティーブ・グリセ、イオアニス・ソコラキス
- 編集: ユージン・イー、福永壮志
作品データ
- 製作年: 2015年
- 公開日:2017年8月5日
- 製作国: アメリカ・リベリア合作
- 配給: ニコニコフィルム
- 上映時間:88分
- 受賞歴等:第21回ロサンゼルス映画祭最高賞受賞、第31回インディペンデント・スピリット賞 ジョン・カサヴェテス賞ノミネート、第16回サンディエゴ・アジアン映画祭 新人監督賞受賞、第23回レインダンス映画祭 新人監督賞ノミネート、第65回ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式上映、第26回ストックホルム映画祭正式上映、第39回モントリオール世界映画祭正式上映
- 原題:Out of My Hand
- オフィシャルサイト: https://liberia-movie.com/
ゆかりの地図
リベリア共和国:Weala |
6.687222,-10.211467 |