故郷よ

プリピャチ(ウクライナ)

作品概要

事故から25年を経て、チェルノブイリ近郊の立入制限区域内で撮影された、初めての劇映画。
ドラマだからこそ描けた《真実》が、ここに…。
原発事故に関するドキュメンタリーは数多く制作されてきたが、 これが長編劇映画デビューの新鋭女性監督ミハル・ボガニムは、 当事者への入念なリサーチを基に脚本も執筆、 再現された事故当時の様子は、ドラマだからこその圧倒的なリアリティを放つ。
主演は、『007 慰めの報酬』で一躍注目され、テレンス・マリック監督最新作に 主演しているオルガ・キュリレンコ。役と同じウクライナ出身で、出演を切望した彼女は、「美し過ぎる」という理由で起用を躊躇する監督を自ら説得、 体当たりの演技を見せている。
事故そのものではなく、一瞬にして幸せを奪われた人々の、魂の軌跡を丹念に描き切っている。
故郷に留まる者、戻ってくる者戻りたくても戻れない者…。 
それぞれの、故郷に対する想いは、深く、静かに、そして熱く…。

『故郷よ』(こきょうよ)2013年2月9日〜シネスイッチ銀座他全国順次公開、(C)2011 Les Films du Poissons、配給:彩プロ、宣伝:ザジフィルムズ
 
 
上映館案内
劇場公開

ストーリー

水面には恋人たちのボートが浮かび、川辺では少年と父が、林檎の苗木を植える。うららかな春の日に、それは突然起こった…。
1986年4月26日。チェルノブイリから、わずか3キロの隣町プリピャチ。この春の美しい日に、アーニャは結婚式を挙げた。幸せを噛み締めながら、『百万本のバラ』を歌う美しい花嫁…。
しかし事故は起こった。新郎は式の途中“山火事の消火活動”に駆り出され、二度と戻っては来なかった。
原子力発電所の技師アレクセイは、いち早くことの重大さを悟るが、真相を告げることも出来ず、降り出した雨に濡れないよう道行く人に傘を配るぐらいしか出来ない。
そんな中、強制退去命令が下り、街の人々は何も教えられないまま散り散りになり、アレクセイは、妻と幼い息子のヴァレリーを避難させた後、消息を絶った…。

地域ばなし

立入制限区域のシーン:外のシーン、アパートなどの建物の中のシーンは全て立入制限区域で撮影された。(唯一立入制限区域で撮影しなかったのは、小さい女の子のいる1,2シーンのみ。)

チェルノブイリ・ツアー:
劇中アーニャがガイドを務めているツアーのような立入制限区域を訪れる目的の観光プランは、実際に旅行会社などから申し込むことが可能だ。
日帰りコースから丸2日間かけてチェルノブイリ市、チェルノブイリ原発の周りの見学、石棺、事故後放棄された村であるオパーチチ村、クポワートイェ村、オターシェフ村、プリピャチ市、元ロソハ村の事故処理に使われた汚染機材置き場などを巡るものまでさまざま。 キエフからはバスで片道約2時間半。価格の目安は、日帰りの場合、原発施設内の食堂で食べるランチ込みで150〜。

ロケ地

ウクライア
プリピャチ:
ウクライナ 北部の都市。市名は近くを流れるプリピャチ川 に由来。原子力発電所から3km離れた場所に位置する。発電所の従業員の居住地として創建された都市で、当時の人口は約5万人。平均年齢は26歳、この地方で出生率がもっとも高く活気があった。
エレベーター 完備の高層マンション など近代的な建物・病院・カルチャーセンター・公園など様々な施設があり、原発事故当時にはオープン間近の遊園地も建設されていた。
事故後は全住民が避難を命じられ、ゴーストタウンと化し現在に至る。街への立ち入りには特別許可証が必要である。

・立入制限区域:
プリピャチを含む、発電所から30km圏内は「立入制限区域」とされ、「ゾーン」と呼ばれる。
アーニャとヴァレリーの家族が住むウクライナの都市、スラブティチは制限区域から60㎞の距離にあるが、ここもまた放射能の影響を受けている。
ソ連崩壊後、現在「ゾーン」は、ウクライナとベラルーシ、2つの国にまたがっている。 チェルノブイリは今日観光地と化し、立入制限区域は厳しい監視の目と一緒なら1時間の制限時間内で立ち入ることが出来るようになっている。
子どもには、区域内に立ち入るための許可が下りることはないが、実際は不法移民の家族や発電所の修繕に携わる作業員が無許可で区域内に連れてくることがある。
発電所では、約4000人が仕事をし、バーやレストラン、ホテルまでもが1年中営業。ただし、この発電所で働く労働者には保護のため、月に15日間という労働規約が設けられている。

 

映画にちなんだもの

「百万本のバラ」(花嫁姿のアーニャが歌う。当時のソ連のヒット曲「百万本のバラ」。原曲はラトビアの歌謡曲。)

支援

日本チェルノブイリ連帯基金

キャスト

オルガ・キュリレンコ(Olga Kurylenko)、アンジェイ・ヒラ (Andrzej Chyra)、イリヤ・イオシフォフ(Ilya Iosifov)、セルゲイ・ストレルニコフ (Sergey Strelnikov)、ヴャチェスラフ・スランコ(Vyacheslav Slanko)、ニコラ・ヴァンズィッキ(Nicolas Wanczycki)、ニキータ・エムシャノフ (Nikita Emshanov)、タチアナ・ラッスカゾファ (Tatyana Rasskazova)、他。

スタッフ

監督/脚本:ミハル・ボガニム(Michale Boganim)
共同脚本:アントワーヌ・ラコンブレ (Antoine Lacomblez)
共同脚本/編集:アン・ウェイル (Anne Weil) 
撮影:ヨルゴス・アルヴァニティス、アントワーヌ・エベルレ(Yorgos Arvanitis Antoine Heberle) 
音楽:レシェック・モジジェル (Leszek Mo.d.er)
録音:フランソワ・ウァレディッシュ (Francois Waledisch) 
編集:エルヴェ・ド・ルーズ、ティエリー・デロクル (Herve´ de Luze Thierry Derocles) 
美術:ブリュノ・マルジェリ(Bruno Margery) 
キャスティング:マリオン・トゥアトゥ(Marion Touitou) 
製作:Les Films du Poisson

作品データ

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