デジタルシネマによる才能ある映像クリエイターの発掘・支援に取り組んできた「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」(主催:埼玉県、川口市、SKIPシティ国際映画祭実行委員会ほか)は7月22日、9日間の日程を終え、クロージングセレモニーにて、最優秀作品賞をはじめとする各賞が発表された。
1)長編部門(国際コンペティション)
世界84の国と地域から応募された571作品の中から、厳選なる審査を経た12作品(海外作品9本、国内作品3本)が上映され、映画プロデューサ—から構成される国際審査員による最終審査を経て各賞が決定した。
国際審査委員長: 河井 真也 (日本)
国際審査員: 梅川 治男(日本)、 オ・ジョンワン(韓国)、 マーテン・ラバーツ(ニュージーランド)
◎最優秀作品賞 :『二番目の妻』 (2012年/オーストリア/93分)監督: ウムト・ダー “Kuma” (2012 / Austria / 93min.) Director: Umut Dag
◎監督賞:中野 量太 『チチを撮りに』 (2012年/日本/74分) Director: Ryota Nakano “Caputuring Dad” (2012 / Japan / 74min.)
◎脚本賞:『旅の始まり』 (2011年/オランダ/82分) 監督: マルヒン・ロハール “Bon Voyage” (2011 / Netherands / 82min.) Director:Margien Rogaar
◎審査員特別賞 :『ノノ』 (2011年/フィリピン/115分) 監督: ロメル・トレンティーノ “Nono” (2011 / Philippines / 115min.) Director: Rommel Tolentino
◎SKIPシティアワード: 『チチを撮りに』 (2012年/日本/74分) 監督: 中野 量太 “Capturing Dad” (2012 / Japan / 72min.) Director: Ryota Nakano ( ※副賞として「SKIPシティアワード」の授与: 日本の若手映画制作者の育成・支援を目的とし、一定期間、撮影機材の利用を提供する賞 )
2)短編部門(国内コンペティション)
国内から応募された159作品の中から、ノミネート審査を経た15作品が上映され、厳正なる審査を経て各賞が決定した。
審査委員長:桝井 省二(映画プロデューサー)
審査員 :紀伊 宗之(映画プロデューサー)、杉野 希妃(女優・映画コメンテーター)
◎最優秀作品賞: 『ユメのおと』(2012年/日本/25分) 監督: 角川 裕明 “Dream Notebook” (2012 / Japan / 25min.) Director: Hiroaki Kakukawa .
( ※副賞として「SKIPシティアワード」の授与: 日本の若手映画制作者の育成・支援を目的とし、一定期間、撮影機材の利用を提供する賞 )
◎奨励賞(2作品):
『小さなユリと 第一章・夕方の三十分』 (2011年/日本/26分) 監督: 和島 香太郎 “With Little Yuri Episode 1. Sunset 30min” (2011 / Japan / 26min.) Director: Kotaro Wajima
『トゥルボウ』 (2012年/日本/19分) 監督:多田 昌平 “Trubow” (2012 / Japan / 19min.) Director: Shohei Tada
◎上田 清司 埼玉県知事 (SKIPシティ国際映画祭実行委員会 会長)
「この映画祭も今回で9回目となり、若手クリエイターの登竜門として認知され、ノミネートされた監督の活躍も年々目立ようになってきています。映画祭や映像関連産業の拠点施設であるSKIPシティの取り組みを通じて多くのクリエイターが世界に羽ばたいていくことを期待し、映画を愛するみなさん一人ひとりに支えられていることに感謝し、今後もお力添え賜るようお願い申し上げます。」
◎岡村 幸四郎 川口市長 (SKIPシティ国際映画祭実行委員会 副会長)
「年々作品のレベルが上がってきていることに驚きと嬉しさを感じると同時に、当映画祭に参加したクリエイターの中から、ここ川口をスタート地点として世界に羽ばたく人材を輩出することになれば、これほど嬉しいことはありません。この映画祭は、若手クリエイターの登竜門であると同時に、デジタル映像制作の機会を広げていくことにも大きく貢献しているとも感じています。」
【長編部門】 河井 真也 国際審査員長
「今回12本に残っている作品は国内作品3つを除いて、製作国がすべて異なるという見事なバランスでした。ここSKIPシティの映画祭は他の海外国際映画祭と比べても引けをとらない、とてもレベルの高いものであり、全作品を世界中で、そしてより多くの人々に観てもらえるよう切に願っています。また、それが私たちの責任でもあるとも思っています。みなさんの今後の活躍に期待しています。」
【短編部門】 桝井 省志 審査員長 「年々クオリティの高い作品が多く作り出され、一定のレベルに達していることから、テーマや題材が類似してきたように感じます。恐らく、30分程の枠ではドラマが中心になってきているのが要因かと思われます。短編映画の本来の醍醐味は、ストーリーの呪縛から解き放たれて、自由な発想で作られるものはないかと思っています。短編という我々が介入できない、みなさんに与えられた自由なフィールドで、是非、生き生きと素晴らしい作品を作っていってほしいと思います。」
【長編部門・最優秀作品賞受賞】 『二番目の妻 / Kuma』 ウムト・ダー監督
「映画祭に参加できたことだけでも光栄であり、まさかこのような素晴らしい賞をいただけるなんて思ってもみなかったので、とても驚いています。私の作品は異文化の方には理解されにくい複雑な内容のものであり、悩んだりもしましたが、チームやプロデューサーなどのスタッフが後押ししてくれたことに感謝します。またこの映画祭で日本の方々に観ていただける機会を得られることができたことをとても嬉しく思っています。」
【短編部門・最優秀作品賞受賞】 『ユメのおと / Dream Notebook』 角川 裕明監督
「日本にはあまりミュージカル映画がないなと思い、短編というジャンルで挑戦しようと思いました。自分も俳優として演じてきているなかでの視点も含めて、新しい映画を作ろうと思い、なによりキャストとスタッフ、そしてついてきてくらたみんなの力のおかげで、このような賞を頂けたのだと思います。今回の映画をきっかけにミュージカル・オブ・ジャパンという団体を立ち上げて、日本でのミュージカル映画という新しい位置づけを確立していきたいと思っています。」