香川県小豆島町・高松市・琴平町、神奈川県鎌倉市
作品概要
©1954/2007 松竹株式会社
瀬戸内海の小豆島を舞台に激動の時代を生きた先生と生徒のふれあいと成長の感動作。
黒澤明監督の『七人の侍』を抑えてキネマ旬報ベストテン第1位を獲得した日本人の日本人による日本人のための反戦映画。
時代を超越する永遠の名作。
ストーリー
昭和3年、小豆島の分教場にひとりの新任女性教師・大石先生が赴任してきた。12人の教え子たちはみな大石先生を慕い、彼女もまたこの子たちの美しい瞳を濁してはいけないと願う。しかし、日本中を覆う貧困と戦争の波は、やがて否応なく子供たちの運命を大きく狂わせていく……。
地域・建築ばなし・プロダクションノート
全編小豆島ロケを敢行、日本の原風景を堪能しながら、木下惠介監督の抒情的な作風を代表する傑作です。
映画音楽は、全編を通して学校唱歌で統一されています。
主演の高峰秀子さんは、20代から50代までに扮しています。
子役は、分校時代(1年生のシーン)と本校時代(6年生のシーン)合わせて24名です。実際に似ている兄弟姉妹を起用して自然な成長を描いています。
原作の舞台は「瀬戸内海べりの一寒村」です。原作には「小豆島」という具体的な地名は出てきませんが、原作者・壺井栄の故郷が小豆島であることから「小豆島」を舞台にしてロケーション撮影されています。
明治35年(1902年)に建てられた小豆島の「岬の分教場 田浦分校」でロケーション撮影されました。同校舎は、昭和46年(1971年)までの約70年間利用されました。廃校後も校舎はそのまま保存されていいます。
修学旅行のシーンでは、香川県高松市「屋島城跡」「檀ノ浦」「栗林公園(りつりんこうえん)」、琴平町「金刀比羅宮の階段(785段)」が登場します。
リメイク版『二十四の瞳』(1987年製作・朝間義隆監督・田中裕子主演)では、「苗羽尋常小学校田ノ浦分校」のオープンセットを建てて撮影されています。なお、オープンセットは「二十四の瞳映画村」に保存され一般公開されています。オープンセット内には撮影で使用された小道具などが展示されています。
ちなみに、多くのシーンの外観は実景で、ロケで撮影されていますが、室内の撮影の多くは、松竹大船撮影所にセットを建て込んで撮影されました。
例えば、「大石先生の家」のシーンは、小豆島の小高い丘の家の外観はロケーション撮影されています。「大石先生の家」の庭にある桜の樹、濡れ緑(ぬれえん)、障子などはロケ撮影されました。一方、その障子のある部屋でのシーンは、松竹大船撮影所にセットを建て込んで撮影されています。ロケした小豆島の家で使われているものと同じ障子や建具を使って、実際の部分とマッチ(ロケマッチ)させています。
松竹大船撮影所にセットを作って撮影された室内シーンは、「病院」「高松の食堂」「職員室」「校長先生の部屋」「分教場の教室」などです。
室内のシーンでロケ撮影されたのは、謝恩会のシーンで、小豆島の料亭でロケ撮影されました。
小豆島の土庄(とのしょう)港の船着き場のシーンで登場する「駅舎」のみ、ロケオープンセットが作られています。
本作品は、小豆島でのロケ風景と室内のセットが融合していて、室内シーンも全てロケ撮影の作品だと見間違えるほどです。そのため、毎日映画コンクール賞において、審査員たち全員が、全編オールロケ作品だと勘違いしていて、美術賞の対象から本作品を外していました。それゆえ、『二十四の瞳』は作品賞・監督賞・シナリオ賞・主演女優賞・録音賞を受賞していますが、美術賞は受賞を逃したという裏話があります。
しかし、わかる人にはわかるもので、職員室のシーンで外に見えている屋根瓦に大船撮影所にあった本瓦を使用していることを、日活の美術監督の小池一美が「あれ、瓦がちがうよ。」と、小豆島の瓦と違うことを見破ったという逸話も残されています。
ロケ地:都市・地域・施設(建築物・土木構造物)
香川県
小豆島町:小豆島の各所(岬の分教場 田浦分校、水月楼、他)
高松市:栗林公園、屋島城跡、檀ノ浦
琴平町:金刀比羅宮
【スタジオ】
神奈川県
鎌倉市:松竹大船撮影所
映画にちなんだもの
自転車、モダンガール、洋服、醤油樽、牛車、採石場、網引き、オルガン、泣きべそ、大型船、百合の花のアルミの弁当箱、修学旅行、金比羅参り(こんぴらまいり)、作文「将来の希望」、漁師、米屋、遊覧船、シマバス(土庄ー坂出)、文集「草の実」、士官学校、奉公、軍人、兵隊、軍国主義、アカ、天皇陛下、満州事変、上海事変、日独伊三国防共協定、出兵、武運長久
童謡・唱歌「七つの子」「アニー・ローリー」「仰げば尊し」「ふるさと」「朧月夜」「浜辺の歌」「春の小川」「汽車は走る」「ひらいたひらいた」「荒城の月」「村の鍛冶屋」
軍歌「日本陸軍」「露営の歌」「暁に祈る」
映級グルメ
映画に出てくるグルメ:きつねうどん、米、豆、そら豆、ゴマ
支援
応援:小豆島苗羽公民館演劇グループ
キャスト
高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高廣、笠智衆、天本英世、八代敏之、木下尚寅、夏川静江、浦辺粂子、明石潮、高橋トヨ、小林十九二、草香田鶴子、清川虹子、高原駿雄、浪花千栄子
スタッフ
- 監督:木下惠介
- 脚本:木下惠介
- 製作:桑田良太郎
- 原作:壺井栄
- 音楽:木下忠司
- 撮影:楠田浩之
- 照明:豊島良三
- 美術:中村公彦
- 録音:大野久男
作品データ
- クレジット:©1954/2007 松竹株式会社
- 製作年:1954年
- 公開日:1954年9月14日、2007年3月3日(デジタルリマスター版)
- 製作国:日本
- 配給:松竹
- 上映時間:154分
- 英題:Twenty-Four Eyes
- 受賞歴等:第12回ゴールデングローブ賞外国語映画賞、1954年度キネマ旬報ベスト・テン第1位、第9回毎日映画コンクール日本映画大賞・監督賞・脚本賞・女優主演賞・録音賞、第5回ブルーリボン賞作品賞・主演女優賞・脚本賞、昭和29年芸術祭参加映画コンクール1位、NHK映画委員会選出ベスト・テン第1位
- DVD・ブルーレイ: Blu-ray:5,170円(税込)DVD:3,080円 (税込)発売・販売元:松竹 ©1954/2007 松竹株式会社 2024年3月時点の情報です
ゆかりの地図
二十四の瞳映画村 |
二十四の瞳映画村 |
