広島県尾道市、東京都足立区・中央区・台東区・千代田区、静岡県熱海市、大阪府大阪市、神奈川県鎌倉市
作品概要
©1953/2017松竹株式会社
何気ない言動が教える各人の生活、思いがけない心情の吐露と発見、そして何事もなかったような人生の悲哀と深淵を見事に描いた、普遍的な家族の物語。小津安二郎の代表作であり、不朽の名作。
ストーリー
平山周吉(笠智衆)、とみ(東山千栄子)の老夫婦は住みなれた尾道から二十年振りに東京にやって来た。途中大阪では三男の敬三(大坂志郎)に会えたし、東京では長男幸一(山村聰)の一家も長女志げ(杉村春子)の夫婦も歓待してくれて、熱海へまでやって貰いながら、何か親身な温かさが欠けている事がやっぱり物足りなかった。それと云うのも、医学博士の肩書まである幸一も志げの美容院も、思っていた程楽でなく、それぞれの生活を守ることで精一杯にならざるを得なかったからである。周吉は同郷の老友との再会に僅かに慰められ、とみは戦死した次男昌二の未亡人紀子(原節子)の昔変らざる心遣いが何よりも嬉しかった。「ハハキトク」尾道に居る末娘京子(香川京子)からの電報が東京のみんなを驚かしたのは、老夫婦が帰郷してまもなくのことだった。脳溢血である。とみは幸一にみとられて静かにその一生を終った。駈けつけたみんなは悲嘆にくれたが、葬儀がすむとまたあわただしく帰らねばならなかった。若い京子には兄姉達の非人情がたまらなかった。紀子は京子に大人の生活の厳しさを言い聞かせながらも、自分自身何時まで今の独り身で生きていけるか不安を感じないではいられなかった。
地域・建築ばなし・プロダクションノート
尾道市の各所でロケーション撮影されました。劇中には、浄土寺、住吉神社、福善寺、中央桟橋、海岸通り、竹村家、尾道水道、西郷寺近くの路地などが出てきます。
周吉(笠智衆)がひとり夜明けを見ていた寺は「浄土寺」です。周吉(笠智衆)が「ああ、きれいな夜明けじゃったあ。」「・・・今日も、暑うなるぞう。」といい、紀子(原節子)も朝日をのほうを見るシーンは、「浄土寺」境内でロケ撮影されました。
ロケハンで「竹村家」(たけむらや)に、小津安二郎監督が宿泊しています。
尾道ロケでは、小津安二郎監督、原節子、笠智衆、香川京子が「竹村家」に宿泊しています。
屋内シーンは、全て(東京駅待合所を除いて)、松竹大船撮影所にセットを建て込んで撮影されました。
平山家の親族たちがお葬式の後に会食するシーンは、尾道市「竹村家」の大広間の写真を撮影し、それを元に、大船撮影所にセットを建て込んで、セットで撮影しています。
映画の冒頭シーンに、尾道の「住吉神社の石灯籠」が出てきます。
尾道の子供たちの通学するシーンは、倉庫が立ち並ぶ道(尾道市久保1丁目)で撮影されました。
京子(香川京子)が勤める小学校のシーンは、木造校舎の旧筒湯小学校(現存しません)で撮影されました。
京子(香川京子)が通勤する道のシーンは、西郷寺近くの路地(尾道市東久保町)で撮影されました。
東京のシーンでは、銀座和光、松屋銀座、上野恩賜公園、皇居、東京駅などが出てきます。
東京のシーンでは、堀切駅近くに長男幸一(山村聰)の平山医院があるという設定となっており、劇中に「平山医院」の看板が映ります。
熱海海岸の堤防のシーンで、周吉(70歳ぐらい)役の笠智衆さんは49歳、浴衣と背中の間に座布団を入れ、背中が丸まった年寄りに見えるようにしています。「洋服を着ているときはメイクと演技でなんとかなるんですが、浴衣を着て堤防に座るとどうしても七十には見えん。背中のあたりがシャンとして若さが出てしまうんです。それで僕は衣裳さんと相談して・・・」と、「小津安二郎先生の思い出(笠智衆著・朝日文庫)で、笠智衆さんは述べています。
東京から尾道へ帰る途中、大阪で下車して滞在するシーンに大阪城天守閣が映ります。
2012年、英国映画協会(BFI)「映画監督(358人)が選ぶ史上最高の映画」で『東京物語』が第1位に選ばれています。
ロケ地:都市・地域・施設(建築物・土木構造物)
広島県
尾道市:浄土寺、住吉神社、福善寺、中央桟橋、海岸通り、竹村家、尾道水道、西郷寺近くの路地
東京都
足立区:千住火力発電所、荒川土手
中央区:銀座和光、松屋銀座
台東区:上野恩賜公園、寛永寺旧本坊表門
千代田区:皇居、東京駅、国会議事堂
静岡県
熱海市:熱海海岸堤防
大阪府
大阪市:大阪城
【スタジオ】
神奈川県
鎌倉市:松竹大船撮影所
映画にちなんだもの
家族、戦死、未亡人、尾道、東京、熱海、大阪、大三島、はとバス、温泉旅館、ゆかた、麻雀、アコーディオン演奏、木造校舎の小学校
映級グルメ
映画に出てくるグルメ:日本酒、ピーマンの煮物、お刺身、茶碗蒸し、玉子焼き
キャスト
笠智衆、東山千榮子、原節子、杉村春子、山村聰、三宅邦子、香川京子、東野英治郎、中村伸郎、大坂志郎、十朱久雄
スタッフ
- 監督:小津安二郎
- 脚本:野田高梧、小津安二郎
- 製作:山本武
- 音楽:齋藤高順
- 撮影:厚田雄春
- 照明:高下逸男
- 美術:濱田辰雄
- 録音:妹尾芳三郎
作品データ
- クレジット:©1953/2017松竹株式会社
- 製作年:1953年
- 公開日:1953年11月3日、2018年5月10日(ワールドプレミア・4Kデジタル修復版)
- 製作国:日本
- 配給:松竹
- 上映時間:135分
- 映倫区分:G
- 受賞歴等:キネマ旬報ベストテン2位、1958年度ロンドン映画祭サザランド杯、第63回ベルリン国際映画祭ワールド・プレミア、第71回 カンヌ国際映画祭ワールド・プレミア(4K)、第36回東京国際映画祭特集上映、2012年英国映画協会「映画監督が選ぶ史上最高の映画」第1位
- 英題:Tokyo Story
- オフィシャルサイト: https://www.cinemaclassics.jp/ozu/movie/2851/
ゆかりの地図
浄土寺 |
尾道市浄土寺 |
