せかいのおきく

京都府京都市・京丹後市、埼玉県加須市、栃木県栃木市

作品概要

(c)2023 FANTASIA

つらい現実にくじけそうになりながら、それでも心を通わせることを諦めない若者たちの物語。人々があらゆる物を大切に使い、人間の排泄物さえも肥料とし、限られた資源を使い尽くす<循環型社会>を確立していた江戸時代を舞台に、墨絵のように美しく、鮮烈なモノクロ映像で綴られる至高の日本映画。

2023年4月28日公開
上映館案内

 

ストーリー

22歳のおきくは、武家育ちでありながら今は貧乏長屋で父と二人暮らし。毎朝、便所の肥やしを汲んで狭い路地を駆ける中次のことをずっと知っている。ある時、喉を切られて声を失ったおきくは、それでも子供に文字を教える決意をする。雪の降りそうな寒い朝。やっとの思いで中次の家にたどり着いたおきくは、身振り手振りで、精一杯に気持ちを伝えるのだった。 江戸末期、東京の片隅。おきくや長屋の住人たちは、貧しいながらも生き生きと日々の暮らしを営む。そんな彼らの糞尿を売り買いする中次と矢亮もまた、くさい汚いと罵られながら、いつか読み書きを覚えて世の中を変えてみたいと、希望を捨てない。お金もモノもないけれど、人と繋がることをおそれずに、前を向いて生きていく。そう、この「せかい」には果てなどないのだー。

予告編

予告編配信の使用許諾権:地ムービー

地域・建築ばなし・プロダクションノート

本作品は、人間と自然が共生し、経済として成り立っていた江戸の循環型社会を描いています。江戸では資源が少なく衣食住のすべてが貴重なものだという考えが浸透しており、例えば、料理で使う鍋や食器は、割れたり穴が開けば焼き接ぎでくっつけるなど修理して使い続けていました。また、紙屑買いが集めた反古紙は漉き直して再生紙に何度も生まれ変わっています。さらには、本作に登場するする「下肥(しもごえ)買い」は、「汚穢屋(おわいや)」とも呼ばれ、江戸市中から糞尿を集めて農家に運び畑の肥料として活用していました。江戸は、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の最先端でした。

『せかいのおきく』は、劇中に出てくる美術・衣装・小物に新しいものは一切使用しないことを徹底した「3R(リデュース・リユース・リサイクル )」の映画となっています。

本作のポスターにも登場する、おきくと中次・矢亮の3人が雨宿りする厠の建物(「厠」のセット)は、新材ではなく古材を使って作成されました。

中次と矢亮が漕いでいる 「汚穢船(おわいぶね)」は、昭和の高度成長期(今から60 年くらい前)に造られた木船。現代では、木の船は殆どなく、多くがFRP(繊維強化プラスチック)で作られた船なのでとても貴重でした。この木船は、栃木市で川の遊覧船として使われていたものです。その遊覧船を加工して「汚穢船」としてリユースしています。その際も新材ではなく、全て古材を使用しています。

なお、「汚穢船(おわいぶね)」は 『せかいのおきく』の撮影後、昭和初期の屋形船として加工されリユースしています。

おきくが住む「長屋」のセットは、東映京都撮影所にある様々な名作が生まれたオープンセットをリユースして作られています。

おきくと中次が手を取り合う「雪が降るシーン」も、松竹京都撮影所にある長屋オープンセットをリユースして、印象的な舞台を創りあげています。

おきく(黒木)の着物、中次(寛一郎)の衣裳は昭和初期の生地を仕立て直しています。

矢亮(池松)衣裳は明治時代の生地を使用して作成しています。

 

本作の撮影で使用した美術セットや衣裳は全て捨てることなく、撮影所に残し、また次の作品で活用してもらえるよう保管してあります。

ロケ地:都市・地域・施設(建築物・土木構造物)

京都府
京都市:旧嵯峨御所大本山大覚寺
京丹後市:大宮町・五十河の里「民家苑」

埼玉県
加須市(かぞし):渡良瀬遊水地

【スタジオ】
京都府
京都市:東映京都撮影所、松竹京都撮影所、東映太秦映画村

映画にちなんだもの

おわいや、うんこ、糞尿、クソミソ、江戸、長屋、武家、江戸時代、安政、万延、文久、運の尽き、せかい、さむらい(侍)、早桶(はやおけや)、寛永寺、言の葉、役割、ふるさと、手習所(てならいどころ)、忠義、カメ(亀)、代金、尻拭い、クソの役にも立たない、鼻つまみ

バイオエコノミー、循環経済(サーキュラーエコノミー)、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)、オランダ・ロッテルダムのサーキュラーエコノミーのインキュベーションセンター「BlueCity(ブルーシティ)

映級グルメ

映画に出てくるグルメ:
おにぎり、にぎりめし(握り飯)、しおむすび、団子(だんご)、イワシ、大根

支援

撮影協力:
旧嵯峨御所大本山大覚寺、京丹後・五十河の里「民家苑」、京丹後フィルムコミッション、京馬車、菊香荘、GOODRENT、太陽建機レンタル株式会社、加須市フィルムコミッション

協力:
東映京都撮影所、松竹撮影所、36℃、東映太秦映画村、Smoke、創美、ナックイメージテクノロジー、サウンドデザインユルタ、かたつむり、東和美粧、山崎かつら、関西ロケーションサービス、京都芸術大学、南麻布スタジオルーム、日活スタジオセンター、日活調布撮影所、他。

キャスト

黒木華、寛一郎、池松壮亮、眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司、東映京都俳優部、松竹撮影所俳優部、京都芸術大学、京丹後市五十河地区の皆さま、他。

スタッフ

監督:阪本順治
脚本:阪本順治
製作:近藤純代 企画・プロデューサー:原田満生
音楽:安川午朗
音楽プロデューサー:津島玄一 撮影:笠松則通 照明:杉本崇
録音:志満順一
美術:原田満生
美術プロデューサー:堀明元紀 装飾:極並浩史 小道具:井上充
編集:早野亮
VFX :西尾健太郎
衣装:大塚満 床山・メイク:山下みどり 結髪:松浦真理
マリン統括ディレクター:中村勝
助監督:小野寺昭洋
ラインプロデューサー:松田憲一良
バイオエコノミー監修:藤島義之、五十嵐圭日子

作品データ

ゆかりの地図

五十河の里「民家苑」
五十河の里「民家苑」農楽堂

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