古都

京都市、パリ(フランス)

作品概要

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(C)川端康成記念會/古都プロジェクト

パソコンや携帯電話で、世界中の誰とでも一瞬でつながることができる現代にも、昔ながらの暮らしを守っている人たちがいる。2020年の東京オリンピック開催に向けて、“本物の日本の心とは何か”が世界から問われている今、日本の真の伝統を未来へと引き継ごうとする人々を描く物語が完成した。“日本の美と精神”を表現することに生涯をかけ、日本人として初めてノーベル文学賞を受賞した川端康成の傑作『古都』の新たな映画化だ。
 過去にも岩下志麻と山口百恵の主演で、1963年と1980年の2度にわたって映画化されているが、今回がこれまでと大きく異なるのは、原作の“その後”が描かれる“現代版”であること。
舞台は京都とパリ。時は生き別れになった双子の姉妹、千重子と苗子が最後に会って別れてから20数年後。それぞれに娘が生まれ、すっかり大人の女性になった二人は、新たな葛藤を抱えていた。千重子は代々続く呉服店を娘の舞に継がせるつもりだったが、舞から思わぬ抵抗を受ける。北山杉で林業を営む苗子は絵画を志す娘の結衣を快くパリに送り出したが、結衣が自分の才能に疑問を持ち始めていることに気付く。娘と同じ年の頃、千重子も苗子も人生の岐路に立ち、迷っていた。あの時の自分が下した決断に想いを馳せながら、二人は娘の未来のために何をしてやれるのかを問いかける─。

2016年12月3日公開
上映館案内

ストーリー

今朝もいつものように店の前に水をまき、夫の竜助(伊原剛志)に丁寧にお茶を淹れ、仏壇に手を合わせる佐田千重子(松雪泰子)。京都室町に先祖代々続く佐田呉服店を継いで20年、同じ暮らしを守り続けてきた。しかし、周囲は変わりつつあった。西陣を歩いても機の音が聞こえなくなり、古くからの付き合いの職人たちが次々と廃業していく。
 千重子の一人娘で大学生の舞(橋本愛)は、一流商社の二次面接を控えていた。就活がうまくいかない友人たちから「最後は家を継ぐんやろ?」と聞かれて、言葉を濁す舞。本当は何をしたいのか、見つけられないでいるのだ。
 千重子には、生き別れになった双子の妹がいた。彼女の名は中田苗子(松雪泰子/二役)、京都のはずれの北山杉の里で夫と林業を営んでいる。一人娘の結衣(成海璃子)は、絵画を勉強するためパリに留学していたが、やはり本当は何を描きたいのかを見失い、悩める日々を送っていた。
 竜助と千重子は、舞に広い世界で社会を学ばせた後、店を継いでもらおうと考えていた。そのため、町家を売ってマンションにしないかという不動産会社の誘いも断ってきた。だが、経営は思わしくなく、外国人観光客相手の町家ツアーを企画したり、竜助の実家で今は多角経営を進める大問屋を手伝ったりしている。
 舞と養母の墓に参り、ふと舞と同じ年の頃の自分を思い出す千重子。実の子供ではない自分を温かく育ててくれた両親が喜ぶことだけを望み、店を継ぐのは当然のことと思っていたが、それだけではない。「この町で育ったいうことは、宿命みたいなもんがある気がしてな」と語る母に、舞は顔を曇らせる。
 迷う気持ちを抱えたまま面接を受けた舞は、「この会社で成し遂げたいことはありますか」と聞かれて何も答えられない。それを知った千重子は、昔からの付き合いの商社の重役に贈り物を届け、竜助の父の水木(栗塚旭)に口をきいてもらうよう頼み込む。
 内定通知を見て母の根回しに気付き、勝手に辞退する舞。「お母さんが気にしてるのは、この佐田の家の顔やろ」と千重子に言い捨て飛び出した舞は、祖父(奥田瑛二)の家へと駆けこむ。祖父は一言、「無理に継がんでもええんちゃうか」と微笑んでくれる。その頃、千重子は思うように生きればいいと言ってくれた養母の優しさに想いを馳せていた。
舞が書道の先生からパリで開く個展への同行を頼まれたと知った竜助は、外に出なければわからないものがあるとからと舞の背中を押す。竜助も若い頃、大問屋を継ぐのがいやでアメリカに留学したのだった。
それから数日後の夜、パリと京都で母から娘に北山杉の模様が織り込まれた帯が渡される。パリでは、心配した苗子が結衣のもとを訪れ、帯にまつわる千重子との思い出を語っていた。一方、京都では千重子が、パリで日本舞踊を披露する舞に大切な帯を託す。
もう一つの古都パリに到着する舞。母から日本の心を受け継いだ娘たちの人生が今、交差しようとしていた─。

ロケ地

京都市

熊谷次邸
長江家住宅
同志社大学
吉忠
とみや織物
市原亀之助商店
平安神宮
嵐山 松籟庵
妙心寺 退蔵院
青蓮院門跡
花伝抄
南禅寺
八坂神社
岩屋山志明院
正定院
龍澤寺
通妙寺
互助商会
鳥辺山墓地
常照寺
京都錦市場商店街

フランス
パリ

映画にちなんだもの

北山杉の西陣織袋帯、呉服屋、町屋見学、茶道、日本舞踊、生け花、書道、そろばん、座禅、美術学校、杉の床柱

映級グルメ

昆布と鰹節のだしのおばんさい、いりごま、だし巻卵、簡単パスタ、黒大根

支援

裏千家今日庵、池坊華道会、妙心寺退蔵院、京都織物卸商業組合、西陣織工業組合、京都錦市場商店街振興組合、京都市森林組合、同志社大学、プリオコーポレーション、大垣書店、日本料理アカデミー、歴史街道推進協議会

キャスト

松雪泰子、橋本愛、成海璃子、蒼れいな、蒼あんな、葉山奨之、栗塚旭、迫田孝也、伊原剛志、奥田瑛二

スタッフ

作品データ

ゆかりの地図

京都市
35.012778,135.767493

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