沼影市民プール

埼玉県さいたま市・東京都国分寺市

作品概要

(c) hydroblast

ヨーロッパを中心に12以上の国際映画祭で上映され、高い評価を受けた太田信吾監督最新クリエイティブドキュメンタリー。

友人の死を描いた『わたしたちに許された特別な時間の終わり』、大阪・あいりん地区を舞台に、変わりゆく街と若者たちを追った『解放区』。都市の変化と喪失を記録してきた太田信吾監督が、次にカメラを向けたのは、ある市民プールの最後の夏だった。

誰かにもう会えないと知ったとき、私たちは立ち止まる。場所の終わりもまた、どこか似たかたちで、心を揺らす。精神科医エリザベス・キューブラー=ロスが提唱した「死の受容の5段階(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)」をモチーフに、ある公共空間の終わりと、そこに集う人々を映し出す。

2026年9月5日公開
上映館案内

ストーリー

とあるプールが息を引き取るまでの、49日間の記録。「みんなの居場所」が迎える、最後の夏。

1971年、「海なき市にプールを」という市民の願いから生まれた沼影市民プール。“沼プー”の愛称で親しまれ、52年間で約600万人が訪れたその場所は、子どもたちの遊び場であり、人々の健康を支え、名前のない出会いや関係が生まれる場所でもあった。

しかし2022年、さいたま市は屋外プールを解体し、新たに小中一貫校を建設すると発表。プールを必要とする10,000人以上から反対の署名が寄せられるも計画は進み、わずか2年後にプールは惜しまれながら姿を消した。その後、市は3度の入札を実施するもいずれも不調に終わり、2030年4月に予定されていた学校開校の見通しは依然として立っていない(2026年6月現在)。

これは、都市開発の陰で見過ごされてきた、地域住民の喪失へのケアを問う映画である。

予告編

予告編配信の使用許諾権:地ムービー

プロダクションノート・地域・建築ばなし

本作には、一部に演技による再構成を用いたシーンがあります。記録できない現実をどのように映画として記録できるのかという問いから生まれた選択です。プライバシーへの配慮によって撮影できない出来事がある一方で、その場所が担ってきた歴史を映画から消してしまうこともまた、記録の欠落につながります。本作では、演技を、語りにくい経験や場所に刻まれた記憶を観客へ翻訳すると同時に、当事者へのケアの実践として位置づけています。なお、本作は、海外の映画祭において、このような表現手法を含む「クリエイティブ・ドキュメンタリー」として評価されています。

本作では、国分寺市ロケーションボックスの支援のもと、国分寺市立光公民館での講演シーンが撮影されましたが、編集でカットされました。(本編では、国分寺市は登場しません。)

ロケ地:都市・地域・施設(建築物・土木構造物)

埼玉県
さいたま市:沼影市民プール、駄菓子屋「クリーニングいせき」、本家かまどや武蔵浦和店(弁当屋)、武蔵浦和駅、さいたま市役所

映画にちなんだもの

公共プール、高層マンション、人口増加、沼影公園、ライフガード、ウォータースライダープール、 スライダープール、スパイラルスライダープール、 水の事故、ロッカー室、浮き輪、飲食スペース、埼玉県警、盗撮、トイレ素地、高層マンション、アイススケート場、掃除、教育委員会、義務教育学校、空き地、花火大会、代替候補地、アートプロジェクト、オリーブオイル、熱中症、解体工事、水着、LGBT、性的指向、ゲイ、駄菓子屋、アイスの自動販売機、配管の故障、水中ポンプ、コロナ禍、延べ600万人以上使用。52年間無事故、監視台、飛び込み台、落成式、浦和市民プール、モノクロ写真、さいたま市議会、駄菓子屋「クリーニングいせき」、武蔵浦和駅、スライダー兄さん、本家かまどや武蔵浦和店(弁当屋)、空間の喪失、失われた場所

エリザベス・キューブラー=ロスの死の受容5段階 (第1段階:否認、第2段階:怒り、第3段階:取引、第4段階:抑うつ、第5段階:受容)

沼影市民プール:沼影市民プールは、1971年に「海なき市にプールを」という市民の願いから誕生した、埼玉県さいたま市南区(武蔵浦和駅周辺)の市民プールである。50メートルプール、子どもプール、全長約100メートルのウォータースライダーなどを備え、“沼プー”の愛称で親しまれてきた。夏季には多くの家族連れや子どもたちで賑わい、冬季には屋外50メートルプールがアイススケート場として利用されるなど、市民の憩いと健康を支える場として機能してきた。開業から52年間で約600万人が訪れたとされている。沼影市民プールは、子どもたちの遊び場であり、高齢者の健康づくりの場であり、そして時には名前のない出会いや関係性が生まれる場所でもあった。夏になると県内外から多くの性的マイノリティの男性が集まり、公共空間のなかで独自のコミュニティが形成されていた。本作はそうした利用者たちとも関係を築きながら、この場所が持っていた多層的な意味を記録している。なお、プール解体後、市は跡地への学校建設に向けて入札を実施したが、2026年6月現在までに3度にわたり不調となっており、2030年4月に予定されていた開校時期も不透明な状況となっている。

映級グルメ

映画に出てくるグルメ:
フライドポテト、かき氷、駄菓子、ソフトクリーム、塩分チャージタブレッツ、豆腐とワカメの味噌汁、目玉焼き、ご飯、ハンバーガー、とんかつ、ソース、缶ビール、弁当

支援

撮影協力:
いせき、本家かまどや 武蔵浦和店、NPO学童保育「太陽の家」、スイムイチームZero、シーガル、株式会社ロッテ、沼影公演の都市計画変更に関する説明会参加者の皆さま、市民フォーラム参加者のみなさま、沼影市民プールの保存を求める会、義務教育「武蔵浦和学園」を考える連絡会、埼玉県学校総合体育大会、埼玉県中学校体育連盟水泳専門部、(一社)埼玉県水泳連盟中学校委員会、エーゼット十手、都市型保育園ポポラー祭為武蔵浦和園、国分寺市ロケーションボックス、国分寺市立光公民館、藤沼建材有限会社、西浦和駅東西地区まちづくり協議会、田島第四自治協力会、NPO法人さいたま都市まちづくり協議会、さいたま地区労、未来さいたま(さいたま市確信想)、ゆるやかなさいたま市民ネットワークづくりを目指す有志の皆さま

出演

會田孝志、Toshi Douglas、荒岡龍星ほか

スタッフ

作品データ

ゆかりの地図

沼影市民プール(跡地)

地図:地理院地図(国土地理院)を加工して地ムービー作成

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