東京都新島村式根島・調布市・千代田区・葛飾区、静岡県下田市・浜松市、福島県会津若松市
作品の概要
壷井栄原作、木下惠介監督作品『二十四の瞳』(54年)へのリスペクトあふれる、島の先生と同窓生たちのエピソードを軸に、第4作『新男はつらいよ』以来二度目のマドンナをつとめる栗原小巻と寅さんの物語が綴られる。
式根島から柴又に戻ってから、気が抜けてしまった寅さんの“恋やつれ”ぶりも楽しい。
個性派・川谷拓三や、下田の寅さんの仲間の渡世人を演じ、これがシリーズ初出演となった笹野高史など、名傍役たちの演技も充実している。
ストーリー
タコ社長の娘・あけみ(美保純)が夫婦喧嘩の果て、家出してしまう。ワイドショーに出演して「戻ってこい」と訴えるタコ社長。帰宅した寅さんの広い顔のつてで、あけみが下田にいることが判明する。そこまでは良かったが、あけみの傷心を慰めるはずの寅さんは、式根島への連絡船で知り合った島の小学校の同窓生達を迎えた、美しい真知子先生(栗原小巻)に一目惚れ。あけみを放って、同窓会へ参加してしまう・・・
地域・建築ばなし・プロダクションノート
映画のストーリー上の舞台は、東京都式根島・静岡県下田市・浜名湖舘山寺港・福島県会津若松市です。
第36作では、東京都式根島・静岡県下田市・浜名湖・福島県会津若松市などを寅さんが訪れています。式根島の地鉈温泉は、この映画で広く知られるようになりました。
劇中には、大型客船の初代「さるびあ丸」・初代「にしき」・「あじさい丸」が登場します。
「さるびあ丸」 写真:(C)地ムービー
式根島でのロケーション撮影は、式根館、地鉈温泉、野伏港の周辺、式根島港、大浦海岸(大浦海水浴場)、泊浦(泊海水浴場)、神引展望台、式根島小学校、小浜漁港、「おくやま」前の公衆電話などで行われています。
大型客船(初代「さるびあ丸」・「あじさい丸」)が出発・到着するシーンは、式根島港で撮影が行われました。現在、大型客船が発着している野伏港(のぶしこう)は、撮影当時は建設中でした。
「式根島港」 写真:(C)地ムービー
初代「にしき」が出航するシーン(同窓生たちを見送るシーン)は、野伏港(のぶしこう)で撮影されました。
「野伏港」 写真:(C)地ムービー
「式根館」の外観(式根館の旧館)がロケーション撮影されています。(式根館内の内観シーンはセット撮影です。)
「式根館の旧館」は、入口部分が改築され、2022年5月現在、無くなっています。
「式根館」 写真:(C)地ムービー
地鉈温泉では、あけみが、旅館の青年・茂に「地鉈温泉」を見せてもらい、解放感いっぱいに入浴するシーンが撮影されました
「地鉈温泉」 写真:(C)地ムービー
式根島に到着した「あけみ」をオンボロ車で島を案内するシーンは、島の中の鬱蒼と茂った道で撮影されました。
(撮影されたエリアは、島の中央エリアと考えられています。)
写真は島の中央エリアにある「小鳥の小道」
注意)「小鳥の小道」は自動車での走行は禁止されています。
写真:(C)地ムービー
あけみが旅館の青年・茂にプロポーズされるシーンは、神引展望台でロケーション撮影されました。
「神引展望台」 写真:(C)地ムービー
あけみが旅館の青年・茂に、きれいな景色の場所と案内されたのは「泊海岸」です。
「泊海岸」 写真:(C)地ムービー
「泊海岸(泊海水浴場)」では、あけみと旅館の青年・茂が島の歴史について話すシーンもロケーション撮影されています。
「泊海岸(泊海水浴場)」 写真:(C)地ムービー
真知子先生が教室で教えるシーンは「式根島小学校」でロケーション撮影されました。式根島小学校の生徒たちがエキストラで参加しています。
「式根島小学校」 写真:(C)地ムービー
寅さんと真知子先生から「寅さん、もしかしたら独身じゃない?」と聞かれるシーンは、大浦海岸(大浦海水浴場・大浦キャンプ場)のベンチのあるエリアでロケ撮影されました。撮影当時、島民が撮影を見ようと大勢集まったため大浦海岸の入口付近で入場制限が行われています。
「大浦海岸のベンチ」 写真:(C)地ムービー
「大蔵海岸のベンチ(背景「牛の首」)」 写真:(C)地ムービー
あけみが柴又に「家に帰る」と電話をかけるシーンは、「おくやま」前の公衆電話ボックスでロケーションされました。公衆電話ボックスは新しくなりましたが、場所は同じ場所です。郵便ポストは当時のままです。
「「おくやま」前の公衆電話ボックス」 写真:(C)地ムービー
初代「さるびあ丸」(あけみが乗って帰る)を旅館の青年・茂がそっと見送るシーンは、小浜漁港でロケーション撮影されました。
「小浜港」 写真:(C)地ムービー
式根島でキャスト・スタッフが宿泊したのは菊水旅館です。菊水旅館の玄関には、山田洋次監督の色紙、渥美清さん(寅さん)の色紙が飾られています。
「山田洋次監督の色紙」 写真:(C)地ムービー
「渥美清さんの色紙」 写真:(C)地ムービー
同窓生たちを寅さんと真知子先生が「野伏港」で見送った後、自転車を引いて坂道を歩くシーンが「野伏港」エリアでロケーション撮影されました。
このシーンには、キャスト・スタッフが宿泊した「菊水館」の外観も登場します。
「野伏港(背景:菊水旅館)」 写真:(C)地ムービー
「菊水旅館」の食堂には、2011年に再び宿泊された山田洋次監督の色紙が飾られています。「25年ぶりの再会 寅さんがいたらな」と記されています。
「山田洋次監督 再会の色紙」 写真:(C)地ムービー
ロケ地:都市・地域・施設(建築物・土木構造物)
東京都
新島村
式根島:地鉈温泉、式根館、野伏港、野伏港の周辺、式根島港、大浦海岸(大浦海水浴場)、泊浦(泊海水浴場)、神引展望台、式根島小学校、小浜漁港、「おくやま」前の公衆電話
調布市:調布飛行場(真知子先生を見送る)
千代田区:神保町、お茶の水、神田駿河台の東京復活大聖堂(ニコライ堂)周辺の公衆電話、有楽町マリオン前
葛飾区:柴又
静岡県
下田市(あけみをみつける):入田浜(あけみと愛について話すシーン)
浜松市:浜名湖舘山寺港(かんざんじこう)の遊覧船乗り場(同窓会の生徒と再会するシーン)
福島県
会津若松市
会津美里町:国鉄只見線・会津高田駅(寅さんが夢から醒めるシーン)
柳津町(会津桐下駄を買おうとし、円蔵寺の縁日の準備をするシーン)
国鉄会津線
映画にちなんだもの
釣竿、会津桐下駄(寅さんが会津桐下駄を買おうとし、円蔵寺の縁日の準備をする)
映級グルメ
映画に出てくるグルメ:イサキ(あけみが食べた「式根館」の夕食。)、メジナ(真知子先生が寅さんを、式根島を案内しているとき、郵便局員が島の人が釣ったと思われるメジナをながめている。)、朝鮮料理、ロシア料理(東京・新宿のロシア料理屋)
キャスト
渥美清、栗原小巻、倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆、下條正巳、三崎千恵子、美保純、太宰久雄、佐藤蛾次郎、松居直美、森本毅郎、笹野高史、アパッチけん、光石研、中島唱子、田中隆三、人見明、川谷拓三、増田未亜ほか。
スタッフ
- 監督:山田洋次
- 脚本:山田洋次、朝間義隆
- 制作:島津清、中川滋弘
- 原作:山田洋次
- 音楽:山本直純
- 撮影:高羽哲夫
- 美術:出川三男
- 編集:石井巌
作品データ
- クレジット:(c)1985 松竹株式会社
- 製作年:1985年
- 公開日:昭和60(1985)年12月28日
- 製作国:日本
- 配給:松竹株式会社
- 上映時間:105分
- 映倫区分:G
- 受賞歴:第10回日本アカデミー賞・優秀監督賞/山田洋次(1987年)、同・優秀主演賞/渥美清(同)、同・優秀助演女優賞/美保純(同)、同・優秀音楽賞/山本直純(同)、同・優秀美術賞/出川三男(同)、同・優秀録音賞/鈴木功・松本隆司(同)
- オフィシャルサイト:http://www.tora-san.jp/index.html
ゆかりの地図
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