映画「百円の恋」舞台挨拶(東京・六本木)

故・松田優作氏の出身地である山口県の周南映画祭において、優作氏の志を受け継ぐクリエイターを発掘すべく2012年に新設された脚本賞「松田優作賞」の第一回グランプリ作品が武正晴(『イン・ザ・ヒーロー』) の手によって映画化。

2014年10月25日(土)に第27回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門での上映にて、上映前舞台挨拶、上映後Q&Aが実施されました。

登壇者: 安藤サクラ(女優)、新井浩文(俳優)、武正晴(監督)、足立紳(脚本)

◎上映前舞台挨拶

MC:
武監督、足立さんにお伺いしたいと思います。この作品は4年間準備したとお伺いしました。本作は山口県で行われた周南映画祭の第一回「松田優作賞」脚本グランプリ作品を受賞されましたが、受賞された時の感想をお願いします。

足立:
受賞した時はとてもうれしかったです。脚本を書いたのは4年前で、監督と一緒にいろいろなところに持ち込んだのですがなかなか実写化できず。諦めれなくて、それで「松田優作賞」が立ち上がったので応募しました。これに入れば、営業しやすくなるかなと思って(笑)。

MC:アイディア自体はどこからうまれましたか?

監督:
僕ら2010年全く仕事がなくて(笑)。仕事がないなら自分で作るしかないよなって思って、足立さんには迷惑だったかもしれないんですけど(笑)。喫茶店に呼んで、作り始めました。それが四年前です。

MC:どのようにしてこの物語のアイデアが浮かんだのですか?

監督:
僕の作品は男性が主人公の作品ばかりだから、女性がかっこ良く闘う物語がみたくて。その願望を足立さんに話して、自由に好きな物を書いてほしいということを伝えて書いてもらいました。

MC:自由な発想で女の子がどんどん変貌していくというはどうこから思いついたのですか?

足立:
僕は学生のころにこういうお店でアルバイトをしていたことがあって。それで、そこからですね。あと子供が産まれる時にお金がなくて、8年ぐらい前に。

監督:どんどん赤裸々な話がでますね(笑)。知らなかったですよ。

足立:
友人がこういうところで働いていたので、僕は怠け者だったので3ヶ月ぐらいで辞めちゃって。夜勤で働いて、15年ぐらい経ってまた、同じところで働いて。同じようなお店で働いているのに、空気が全く違っていて。なんで15年でこんな空気が変わるのだろうと思って。それで、一子にも、とにかく勝ちたいと思ってほしい変わりたいと思ってほしいという願いを込めて書きました。

MC:安藤さんと新井さんはどうしてこの作品やりたいと思いました?

安藤:どうして!?(笑)私自身が闘いたいと思ったからですね!

MC:オーディションを受けられたんですよね?

安藤:はい。

MC:オーディションでは安藤さんの気合いが伝わったのですか?

監督:
僕らも闘いたかったんです。何か賞を取れる作品を作りたかったです。このシナリオが出来た時に、役をやりきれる人をみつけたくて。オーディションに安藤さんが来て一子が来たとみんな思って。一致しました

MC:新井さんは?

新井:素敵な作品と、安藤サクラが主演だったからです。

MC:それは安藤サクラさんと一緒にやりたかったということですよね。

新井:
一緒に仕事はしたことはあったんですけど、ちゃんとしたことはなくって。個人的な意見で申し訳ないんですが、今、現在日本映画女優の中で一番だと思ってます。

(場内 拍手)

MC:どうですか?その言葉を聞いて。

安藤:えっと、どうしたらいいんでしょう(笑)。

新井:後で何かご馳走してください(笑)。

監督:僕もそう思ってます!

安藤:ご馳走するためか(笑)。

<会場からの質問>
Q:すごく感動しました。最後の勝ちたいというシーン私も一緒に勝ちたいと思いました。短時間であれだけの体重を変えたのですか?

安藤:
はい、一回太って。といっても、豪華なお金のある映画ではないので途中でじゃあ痩せるっていう期間を作る時間がなくて。撮影が始まって10日間ぐらいで試合に向けてしぼっていきました。

MC:10日間で?!

安藤:私もいま信じられないんですよね。人の体っていうのはすごいなあって自分で思いながら。念とか脳の命令とか。

MC:オーディションの時は今の姿ですか?

安藤:
オーディションに受かりたくて、受かりたくて。太ってオーディションを受けました。でも、太ろうと思ってたわけじゃないんですけど、この映画の事を考えていたら、ダラダラしてしまって太ってしまいました(笑)

MC:何キロぐらいの減量されたのですか?

安藤:
でも、ボクシングのトレーニングをしていたので、筋肉と脂肪で大きくするしかなかったので。最終的に筋肉だけにしました。何キロって言うか、筋肉が重いので重さで計れないっていうか。

MC:でも世の女性達はびっくりするぐらいお腹周りがすごく変わっていますね。トレーニングと食事制限を行ったのですか?

安藤:トレーニングはする時間はあんまりなくて。食事制限は、新井君もそうですけどササミですね。

新井:二人ともササミで分かり合ってます(笑)。

安藤:新井君が目の前で過酷なことをやっていたので、自分もがんばらなくちゃと思いました。

MC:新井さんどんなササミの生活を?

新井:
うちは劇中での変化はないので、明確でただボクサーに見せる体を作るってことで、3ヶ月前からやらせて頂いて。筋トレと食事制限。要は人間の体って食事と運動じゃないと変わらないんですよ。全部トレーナーの受け売りなんですけど、筋肉をつける為には、高カロリー低タンパクを食べると。

安藤:
何日か最後の方、何にも食べていなくて(新井さんは)水抜きもしていたので。
新井:実際、ボクサーは前日を水飲まないで水抜きをするって聞いたから、シーンにはないんですけど、計量する日を決めて。うちの中でボクシングの前日は水を抜くって決めて。

MC:辛いですよね?

新井:辛いですよ。もうやりたくないですね(笑)もう肉体改造、ボクサー役やりたくないです(笑)。

監督:雨のシーンって普通嫌がるんですけど、新井さん、その時だけはすごい嬉しそうで(笑)。どうしたの?って聞いたら、水が、水がーって。

新井:水抜きしていたので、皮膚から水が入って来て気持ちいいなーって。

MC:安藤さんもササミを?

安藤:何にも食べないで、3時間置きぐらいにササミをタンパク質を取っていって。3時間置きに食べないと、筋肉がなくなっちゃうんで。

MC:ポイントはササミですね。

安藤:ポイントはササミではなく、今なんの目的がなくてもできないです。映画の中へ全部、神経がすべてそこに向かう時じゃないと発揮できないです。

新井:
現場で、監督とサクラと芝居のことはあんまり話した記憶はないです。監督からウチにはボクサーに見えるようにってことだけを伝えれました。サクラともボクシングの話ばかりしてましたね。

Q:最初の一子は自分の感情とかいろんなものに蓋をして生きているイメージでしたがこれが一つの出来事とかいろんな人の出会いで放たれたなって思ったんですが、お二人はそれぐらい衝撃的な出会いはありましたか?

安藤:
この作品はそういう意味ではそういう出会いだったなって思います。今、この作品の上映後、っていうことではなくて。そう思っています。

新井:
ウチもそうですね。この作品に限らず、いい作品に出会わないといい俳優って言われないと思うんでよね。代表作って言われるような。監督や脚本に出会わないと。プロデューサーや共演者なり。今回もそうです。

Q:素朴な質問ですがコンビニとお弁当のモデルは横浜ですよね?実際、この作品の中の土地のモデルはあるんですか?デートは山口県ですが、作品は東京の設定ですか?

監督:
架空の町という設定ですね。どうしてもロケーションの横浜とかは映ってくるので。山口県の発祥の賞を受賞したことで、作られてた作品なので、せっかくなので最初の撮影日は山口県にしました。

Q:先程、監督がお二人に演出はしなかったとおっしゃっていましたが最後のシーンも演出はなかったのですか?

新井:
最後のシーンは2回撮っています。1回目から、ぶっつけ本番で。つまりテストをしない。普通テスト大体して本番なんですけど。1回目から本番をして。正直うちは、ぐっときたんですよ。でも武監督からもう1回って言われて、まじかって思いましたね。でも、それはウチもミスをしていて。もらい泣きしたんです。キャラ設定で泣いてはいけないのに、サクラの芝居みてボロボロ泣いちゃって。泣かない方が言いってなって。あとね、間が尋常じゃなくて。

監督:
1回目は真が10分あったんですよね。お客さんの事を考えてもう1テイクやったほうがいいなと。僕らはグッときたんですけど。劇場の人を考えると10分は観るのは大変だなと。サクラさんにはテストって言ったんですけど、サクラさんはそれを本番だと思って「もうできないよ、今と同じのできないよ」って。でも「ああもう、わかった気がする。」って。

安藤:
テストって言いながら、ああそういうことを言ってリラックスさせようとしてるけど本番なんだなって思って。このシーンが本当にクランクアップの最終日の最後のシーンだったんですよ。私たち2人ともみんな見えないところまで歩いていたんですね。1回目が終わっておし!これで終わったね!って振り向いたら「はい、本番行きます」って言われて崩れ落ちましたね(笑)。

新井:
間で言うと台本どおりなんですよね。・・・っていうのが合って、いろんな俳優さんいるんですけどウチ間をすごい取るタイプなんですよ。映画育ちなので。テレビだと新井くん間縮めてって言われます。テレビは尺が決まっていて、映画は上映時間は決まっていないので。だから間は、台本通りです。

Q:『イン・ザ・ヒーロー』も拝見したのですが、山場を作る構造の時に、盛り上げていく時に監督がここは特に気にしているいうところがあれば教えてください。

監督:どんな話でもどんな設定でも、せっかく映画を観に来てくれた方がどこかここだけはっていう場面を作りたいと思っています。自分も。

MC:クリープハイプの書き下ろしの主題歌についてはいかがでしょうか?

新井:クリープハイプすごいいい曲、作ってくれたんですよ。

監督:
クリープハイプさんは映画を観ないで台本を読んで作ってくれた作品なんですが。痛い痛いっていうのが、サクラさんがアドリブで言っていたことが歌詞にあって。

安藤:
これ、出来上がる前に作ってくださったのに。わたし、ずっと撮影中痛い痛い痛い痛いって言っていて。
監督:やっぱり才能って共鳴するんだなって。ただ1回会って、終わりにかけてろくでもない暮らしがまた始まる2人への応援歌になるように作ってとだけ言ったんですが。

Q:足立さんへの質問です。4年間かけて武監督と作られた、映画の完成時の気持ちをお聴かせください。

足立:
僕、現場が好きで、今回もしょっちゅう行っていたんですけど。最初の編集ラッシュを観た時の感動は、耐えられなかったです。特に安藤さんが、登場するシーンにグッと来ました。どうにもならなかったです。

安藤:
私、自分本人なのでどうしてもニヤニヤしてるんですけど。今日、監督と足立さんに挟まれて映画を観ていたんですけど、両脇のおじさんがずっと泣いていて(笑)。

監督:泣いてないですよ(笑)。

安藤:嘘だ!両脇で泣いてて。私、一人真ん中で笑ってて。

監督:
僕は、この映画は足立君の執念だと思っているので。なんでなんとしてもなんとかしたいって思っていました。いろんなことがあってからこの脚本を読んだ安藤さんや新井さんやスタッフやクリープハイプの皆さんが、共鳴した結果が作品だと思いました。足立さんの執念を届けられてよかったです。

新井:執念ついでに聞きたいんですけど、乳首つままれるのは趣味なんですか?
(場内爆笑)

足立:(困惑)

監督:今回、絶対に切ってほしくないシーンがあると言われてそれが、そこでした(笑)。普段言わないんですけど。

新井:絶対にあそこなんかありますよね。普通書かないですもん。

足立:本来、ああいうシーンが僕は一番面白いシーンができると思っているんですよ。

新井:自分がやってるってことですか?それ以外考えられないんですけど(笑)。
(場内爆笑)

監督:丸山さんが一番褒めてくれたシーンなんですよ。

足立:確かにシナリオの段階からここは切らないでくれって・・

新井:いや、そういうことを聞きたいんじゃないんです!
(場内爆笑)

新井:なんで、そういうことを書いたかが聞きたいんです!

安藤:つままれたいんですか?つままれたいタイプなんですか?

足立:そうですね(笑)。
(場内爆笑)

新井:いや、(足立さんは)違うことを本当は言いたかったんだと思いますが・・・・・・。まあこれぐらいにしておきましょうか(笑)。

作品データ

地ムービーポータルサイト:作品紹介ページ

作品クレジット:(C)2014東映ビデオ
上映時間:113分
映倫区分:R15+

キャスト:
安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平、坂田 聡、沖田裕樹、吉村界人、松浦慎一郎、伊藤洋三郎、重松 収、根岸季衣

スタッフ:
監督:武正晴
脚本:足立 紳(「第一回松田優作賞」グランプリ受賞作)
音楽:海田庄吾
主題歌:クリープハイプ「百八円の恋」(UNIVERSAL MUSIC)
製作:間宮登良松
企画監修:黒澤満
エグゼクティブプロデューサー:加藤和夫
プロデューサー:佐藤現、平体雄二、狩野善則
音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:西村博光(J.S.C.)
照明:常谷良男
美術:将多
録音:古谷正志
編集:洲﨑千恵子
衣装:宮本まさ江
助監督:山田一洋
製作担当:大川伸介
特別協力:大橋広宣
製作プロダクション:スタジオブルー
製作:東映ビデオ
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS

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六本木ヒルズ
35.659999,139.729979
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