島根県奥出雲町・松江市、富山県南砺市、秋田県由利本荘市、三重県伊勢市、青森県外ヶ浜町、石川県金沢市、長野県千曲市、北海道釧路市、東京都大田区・千代田区、大阪府大阪市、埼玉県さいたま市、茨城県常陸大宮市、滋賀県米原市
作品概要
©1974・2005 松竹株式会社/橋本プロダクション
企画から完成まで14年。松本清張の原作では数行程度の親子の放浪を、日本の美しくも厳しい四季と重ねて映像が語る。日本映画史に残る不朽の名作。
ストーリー
東京・蒲田にある国鉄の操車場内で殺人事件が発生。しかし被害者の身許が不明で捜査は難航。迷宮入りかと思われた矢先、被害者が殺される直前に或る男と会っていたことが判明した。 ふたりの会話のなかで交わされていた「カメダ」という言葉。地名か?人の名か? 事件解明のために奔走する刑事、今西(丹波哲郎)と吉村(森田健作)は偶然、新進気鋭の天才音楽家、和賀英良(加藤剛)と遭遇する。 そして、やがて事件は思わぬ展開を見せ始めるのだった…。
地域・建築ばなし・プロダクションノート
劇中、羽後亀田、亀嵩(かめだけ)、金沢、伊勢、岡山、琴平、島根、松江、中央線、奥出雲、上野駅、銀座、岡山、大阪、山梨県塩山付近などの地名が登場します。
日本各地でロケが敢行されました、日本の美しい四季の風景が描かれています。ロケ撮影には10か月をかけています。
交響曲「宿命」のメロディが流れるクライマックスシーンの40分間は、日本映画屈指の名シーンといわれています。
映画のクライマックスシーンは、放浪する親子の旅(回想)、コンサート会場、捜査会議室、この3つのシーンを重ね合わせています。
クライマックスシーンについて、原作者・松本清張は「小説では書けないよ。映画でなけりゃ出来ない、すごい。」とコメントしています。
放浪する親子の旅(回想)シーンは、セリフなしのサイレントです。十数人程度の小規模なクルーでロケ撮影されました。放浪の旅をする、本浦千代吉(加藤嘉)秀夫(春田和秀)親子の出身地は、ストーリー上の石川県上沼郡大畑村で、架空の村です。
架空の村・石川県上沼郡大畑村から親子が旅立つシーンのロケ撮影は、富山県「五箇山合掌造り集落」で行われました。
富山県「五箇山合掌造り集落」で、今西刑事(丹波哲郎)が捜査で訪れ、聞き込みを行うシーンもロケ撮影されています。
奥出雲の亀嵩駅シーンは、八川駅の駅舎、出雲八代駅のホームでロケ撮影されました。
劇中に登場する奥出雲町「亀嵩の駐在所」は、現地・亀嵩に建て込んだオープンセットです。
劇中の「亀嵩の駐在所」での親子が別れるシーン、スタッフは苦労をして馬車の音などの効果音を丁寧にいれていましたが、効果音は無しの名シーンになっています。
放浪する親子の旅、新緑の季節シーンは茨城県でロケ撮影されました。
放浪する親子の旅、真冬の海の岬の印象的なシーンは、青森県「竜飛岬」でロケ撮影されました。
美術監督・森田郷平は、ロケハンで「竜飛岬の墓地」の写真を見せられ、親子巡礼の冬の場面に合う場所を青森でさがしています
放浪する親子の旅、秋の季節シーンは、北海道釧路市「阿寒湖」でロケ撮影されました。この秋のシーンは、秋のシーンがほしかったことから、追加で撮影されています。撮影監督・川又昂は、ラッシュ(未編集の試写)の後、「とってもよいもの。撮ってくれてありがとう」と感謝されています。
コンサートシーンのロケ撮影は「埼玉会館」で行われました。埼玉会館のホールの席は約1000席ありますが、エキストラが約800人しか集まりませんでした。ロケ撮影は、満席に見えるように工夫して撮影されています。
撮影当時は、エキストラの皆さんのお弁当を800人分集めるのが大変でした。(現在のようにお弁当がスーパーやコンビニで普通に買える時代ではありませんでした。)
蒲田操車場のシーンは、高感度フィルムがない時代のため、暗いシーンでの撮影は難しい撮影となりました。
捜査会議室シーンは、当時の刑事部屋にはクラーがないと思われることから、あえてクーラーのスイッチを切り、役者は汗をかきながら演技をしています。
ロケ地:都市・地域・施設(建築物・土木構造物)
島根県
奥出雲町:亀嵩、湯野神社、八川駅、出雲八代駅
松江市:宍道駅
富山県
南砺市:五箇山合掌造り集落
写真「五箇山合掌造り集落」 写真提供:五箇山総合案内所
秋田県
由利本荘市:羽後亀田駅
三重県
伊勢市:二見浦駅
青森県
外ヶ浜町:竜飛岬
石川県
金沢市:金沢駅
長野県
千曲市:信州あんずの里
北海道
釧路市:阿寒湖
東京都
大田区:蒲田操車場
千代田区:国立国語研究所
大阪府
大阪市:通天閣
埼玉県
さいたま市:埼玉会館
茨城県
常陸大宮市:山方小学校舟生分校
滋賀県
米原市米原駅
映画にちなんだもの
宿命、らい病、ハンセン病、ズーズー弁、東北弁、出雲弁、お伊勢参り、雑貨商、方言、音韻、養子、土地勘、スポーツシャツ、トリスバー、急行 鳥海、食堂車、音楽家、俳句、紙吹雪。秋田、亀田警察署、山陰本線 まつかぜ、空襲、滅失戸籍再製、本籍再製、映画「利根の朝霧」
映級グルメ
映画に出てくるグルメ:メロン、ビール、焼き鳥
キャスト
丹波哲郎、森田健作、加藤剛、春田和秀、加藤嘉、島田陽子、山口果林、佐分利信、緒形拳、松山省二、内藤武敏、稲葉義男、穂積隆信、夏純子、松本克平、花沢徳衛、笠智衆、春川ますみ、渥美清、菅井きん、殿山泰司、野村昭子、浜村純
スタッフ
- 監督:野村芳太郎
- 脚本:橋本忍、山田洋次
- 製作:橋本忍、佐藤正之、三嶋与四治
- 原作:松本清張
- 音楽監督:芥川也寸志
- 作曲:菅野光亮
- 演奏:東京交響楽団
- 撮影:川又昂
- 照明:小林松太郎
- 美術:森田郷平
- 録音:山本忠彦
- 調音:松本隆司
- 編集:太田和夫
作品データ
- クレジット:©1974・2005 松竹株式会社/橋本プロダクション
- 製作年:1974年
- 公開日:1974年10月19日、2005年6月18日(デジタルリマスター版)
- 製作国:日本
- 配給:松竹
- 上映時間:143分
- 映倫区分:G
- 受賞歴等:モスクワ国際映画祭審査員特別賞・作曲家同盟賞、第29回毎日映画コンクール大賞・脚本賞・監督賞・音楽賞
- DVD・ブルーレイ: 『砂の器』Blu-ray:3,630円(税込) DVD:3,080円(税込) 発売・販売元:松竹 、2024年7月時点の情報です
- 松竹作品サイト: https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/03988/
ゆかりの地図
五箇山合掌造り集落 |
五箇山合掌造り集落 |