柳川堀割物語

福岡県柳川市

作品概要


© Studio Ghibli

高畑勲×宮﨑駿が贈る『もうひとつのナウシカ』
福岡県柳川市に起こった柳川暗渠事件を基に人と水とのかかわりあいを実写とアニメーションで描く異色のドキュメンタリー。 都市化が進み工場廃液などで汚染・汚濁化した堀割を埋め立てる計画が発表されたが、役所の一係長が堀割の果たしてきた歴史的役割を調べ、浄化して人々の生活に役立てようと提案し、実現させる。柳川暗渠事件とは、ドブと化した水路を埋め立て、駐車場などにすれば利用価値が高まるという都市計画が実施されそうになった時、役所の一係長が、水路の歴史的な役割などを調べ上げ、むしろ浄化して生活に役立てることを逆提案、柳川の水が甦ったという事件です。この話に触発され、柳川を舞台にした記録映画という形で製作された作品。宮崎駿監督の個人事務所「二馬力」が製作。

ストーリー


© Studio Ghibli

プロローグ
第一章 堀割は生きている 水路点描
第二章 汲水場とお濠端 水路網の特色と利用
第三章 柳川三年肥後三月 水路の仕組み
第四章 福岡県令 飲用河川取締規則 水路が清浄だった頃
第五章 列島改造の時代 水路の荒廃
第六章 海のつくった平野 堀割のなりたち
第七章 水を「もたせ」る 水利システムの完成
第八章 水の一滴は血の一滴 矢部川水争い
第九章 直訴と英断 水路再生に向って
第十章 自然を生かし共に生きる 城堀水落ち
第十一章 住民と行政の連帯 水路再生の歩み

地域・建築ばなし・プロダクションノート

アニメ映画『風の谷のナウシカ』のヒット後、次回作のアニメ映画の企画は、高畑勲監督による地方都市・柳川を舞台にした『青い山脈』のような青春映画でした。

その次回作のアニメ映画のロケハンで、高畑勲監督は福岡県柳川市を訪れています。

高畑勲監督は、そのロケハンで柳川掘割・水路再生の中心人物で柳川市役所の職員・広松伝と出会い、その活動に感銘を受け、それが本作品の製作につながりました。

高畑勲監督が、次回作のアニメ映画の企画を進める内に、アニメーションではなくドキュメンタリーで撮ると判断しています。

(※参考文献:集英社新書「スタジオジブリ物語」編者:鈴木敏夫 より抜粋「(前略)それで、やっているうちに高畑さんが『これ、アニメーションにはやっぱり向いてない、やれるんだとしたらドキュメンタリーかな』といい出して。題して『柳川掘割物語』。」)

本作品は、掘割の成り立ちから現代にいたる水辺の暮らしと知恵と、近代化の波におされて荒廃した堀割の再生をめざす住民たちを描いています。

柳川市でロケーション撮影するだけではなく、柳川市のまちづくり活動を記録したドキュメンタリー作品となっています。

アニメ映画『風の谷のナウシカ』のヒットで宮﨑駿監督に舞い込んだお金で製作されています。

製作は、宮崎駿監督の個人事務所「二馬力」です。

高畑勲監督は柳川市内に一戸建てを借り、スタッフと寝泊まりしながら映画制作をすすめています。

柳川市でのロケ撮影期間は、1年の予定が延びて3年がかりとなっています。本作品は、企画から4年がかりで製作されました。

映画制作の期間が延びたことで、当初あった製作資金が底をつく事態となっています。

その不足した製作資金を工面するため、鈴木敏夫さんが宮﨑駿監督に新作映画で補うことを提案しています。

その新作映画の企画が、アニメ映画『天空の城ラピュタ』の製作につながりました。

水のまちとして知られる柳川市。まち中に縦横無尽に張り巡らされた「柳川堀割」は人々の暮らしに溶け込んでいます。


写真「柳川の掘割」(C)柳川フィルムコミッション

「柳川掘割」の歴史は古く、掘割が最初に造られたのは弥生時代です。柳川はもともと干拓地で真水が手に入りにくい土地でした。そこで柳川では、人々が手作業で堀を掘って、そこに雨水を貯めて暮らしてきました。柳川掘割の長さは市内全域で、なんと930km。掘割では“どんこ舟”に揺られ、船頭の舟歌を楽しみながらの川下りの風景を見ることができ、古き良き日本の風情が今なお残っています。

ロケ地:都市・地域・施設(建築物・土木構造物)

福岡県
柳川市:柳川掘割


© Studio Ghibli

映画にちなんだもの

柳川の堀割、汲水場、お濠端、水路網、列島改造、水利システム、矢部川、水路再生、城堀水落ち、住民と行政の連帯

キャスト(解説)

加賀美幸子、国井雅比古

スタッフ

作品データ

ゆかりの地図

柳川掘割
柳川城堀水門
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